滞在地:ガスペジー(ケベック州) 2003/08/01 金曜日
バスディーポで待つこと2時間。ようやくリモウスキ行きのバスが到着し、それに乗り込んだ。
夜中3時40分。リモウスキまでの約2時間、結局眠ることができずにそのままガスペ行きのバスへ接続した。それにしても東側のバススケジュールには、相当困らされる。
その後バスに乗り込んだボクは、誘われるままに眠りへと落ちていった。

公園に続くトレイルの入り口 こういうトレイルが何本も走っていた
次に気づいたときには、リモウスキとガスペのちょうど中間地点の『マタンヌ』という、少し寂れた感じの田舎町で休憩中のバス。少しお腹が減っていたのも我慢して、バスの車窓から何気なく海を眺める。
ガスペまでのこの海岸線は、ケープブルトンと似た感じで海に沿って道路が続いている。左手には蜃気楼のようにかすんで見える地平線が途切れることなく弧を描き、右手にはフォリロン国立公園の森が、これもまた果てしないように見える。数十メートルに1軒あるかくらいのこの田舎の風景は、どこか心落ち着くものであった。

おもしろい海岸線の地層 斜めに向かって地層が続く
厳密に言うと、ボクの目的地は『カポーゾ』。フォリロン国立公園から一番近くの町で、そこのホステルに予約を入れていたからだ。カポーゾは、地図上でいうとガスペからは30キロ程戻ることになる。
13時過ぎ、バスは僕が予約していたホステルの前で止まってくれた。
すぐにチェックインを済ませたボクは、受付に置いてあった周辺マップをチェックする。国立公園がとても広いせいか、観光ポイントは点々と散らばっていた。その中で、『ガスペ岬』とその途中にある『グランドグレーブ』に焦点を合わせたボクは、早速ハイキング用の靴に履き替えて出発した。
マップで見ると、ガスペ岬まで真っ直ぐ海岸線を歩いたとして、片道13キロの距離。こりゃ相当歩くことになるなと思ってみたが、この後それ以上に歩くことになるとは思ってもみなかった・・・。
サイクリングという案もあるにはあったが、バスの中に長くいたせいもあって、とにかく歩きたかった。長くてもいい。どうにかなるさ、と考えていたのが甘かったと気づいたのは、これから数時間後のこと。

ガスペ岬までの道にて 自然の花畑に囲まれるのも悪くない
海岸線に続く舗装された道をひたすら歩く。グランドグレーブまで5キロの表示。とにかく歩くしかないが、やっぱり独り言が多くなる。独り歌も多くなる。舗装された道はいつしか森の中を通るトレイルへと姿を変え、それに伴ってアップダウンの激しい道となった。
汗が体中から噴き出す。ハリファックスあたりからレンタカーばかりだったせいか、ちょっと歩いただけですぐに疲れるし。ヒーヒー言いながら歩きに歩いて、ようやくグランドグレーブに到着するも、特に見るべきものはなく、タバコを吸いつつ途方に暮れる。一緒に西日も暮れ始める。
そういえば、この海岸の岩の形がおもしろい。波に削られたのか、奇妙な形の崖っぷちが続いていた。右手を柵に囲まれてトレイルは続き、途中に降りられるところを見つけて写真撮影。風と波に曝け出された岩の層が、とてつもなく大きな自然の力を物語っていた。

ガスペ岬の展望台より 半島になっている感じ
ガスペ岬まであと6キロ。トレイルは徐々に背と同じ高さの植物に覆われた道を進む。この辺りの花が、言葉で表すことができないくらいこれまた美しい。自然の花畑を見たことがなかったが、人の手が一切関わっていない一面ピンクの花畑は、それはもう「スゴイアルネー」の一言。是非この時期に訪れていただきたい場所だ。
岬に到着したのは、午後5時を過ぎたころだった。車で来ている観光客も数人いて、風が強く少し寂しい雰囲気。備え付けの双眼鏡は、ここからクジラを見るためらしい。結局クジラは見ることができなかったが(というか、そう簡単に見られるわけもない)、半島の先端に来た達成感で、とりあえず良しとしよう。
さて、帰ることにするか、と、やっぱり遠い道である。しかも既に6時。夕日も傾き始めてから、どんどんと地平線へ向かって落ちていた。改めてマップを確認して、来た道とは少し違う、展望タワーを経由する道を選択して進むことにした。
その後、約2時間は歩きっぱなし。

山頂にある展望タワーからの夕日 神秘的な雰囲気だった
ひたすら続く坂道を登りに登り、やってきました展望タワー。こりゃ絶景。相当ヤバイ。
午後8時になろうとしている遅い時間に、展望タワーに来る人間なんて、ボクの他に誰もいるはずもなく、1人で夕日を眺めた。いろいろと考え事をしていたように思う。夕日が西へ落ちていくと同時に、北と東に広がる海の丸さを感じた。
自分のまわりに広がる森と海と太陽。何かこう、地球というか自然というか、コトバでは現すことのできない得体の知れないものを感じる場所だった。時間を忘れ、結局その展望タワーを後にしたときには、夕日が完全に落ちていた。
光のない森の中のトレイルは、それはそれで楽しかったりする。いや、これをロッキーでやっちゃったら熊に襲われてもおかしくない。一本道のトレイルでとてもわかりやすく、走ったり歩いたりでグングンと突き進む。結局ホステルに到着したときには、10時を軽く通り越していた。
総移動距離、約30キロ弱。さすがのボクも相当疲れた。簡単にゴハンを食べてシャワーを浴びたあと、元気がなくてそのまま就寝。久しぶりに満足の1日だった。
【編集後記】
ガスペ・フォリロン国立公園は、期待以上のヤバさです。特に森の中の展望タワーからの絶景は、見る価値アリ。来てよかったよ、ガスペジー。
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